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【薬膳のまとめ】
以下の文章は98年の12月3日、川崎市産業振興財団の招聘を受け私、ウエブマスターが講演した内容の要約です。
<以下は講演の要約>
☆薬膳とは
薬膳という言葉は、すでに日本に根づいているようですが、この言葉自体は新しいもので、最初に登場したのは80年代、北京のあるレストランが使用したのが最初と言われています。ただし言葉は新しくても、その考え方は数千年来の中国医学の経験から生まれたものです。どんなによい薬でも食餌療法にまさるものはないという、いわば中国医学理論の精髄ともいえる考えが薬膳です。
☆薬食同源
皆さんご存知のように、中医薬(漢方薬)のほとんどは、天然の動植物から作ったものです。また古代中国において薬として使用されていたもので、現在は食物として食べられているものも数多くあります。山芋、大根、ゴボウ、クルミ、シソなどは、古代中国では薬の意味が大きかったのですが、現在、薬だと思って食べている人はいないでしょう。
薬膳には、漢方薬に使われる理論が用いられます。すなわち、食材の組み合わせによって食材の薬効をいかに高めるかということが薬膳です。生薬と漢方薬の違いもここにあります。生薬と生薬を組み合わせることで、さらに薬効を高めるのが漢方薬なのです。したがって、多くの食材が漢方薬同様に五味・四気といった性質に分類されています。どんな時に食べた方がよいか、どんな体質の人にはあまりよくないか、どれとどれは相性がよくないかなどの研究が漢方薬同様になされてきたのです。
たとえば、元気をつけるのに朝鮮人参がいいといって、ただ鍋物に朝鮮人参を加えて作ったとしても、それは薬膳とは呼べません。その鍋に鶏肉あるいは山芋が加わっていれば、効果は倍増しますが、その鍋に大根が入っていたら大根が人参の効果を半減させてしまうのです。
ただし、薬食同源といっても、薬と食物をイコールで結ぶわけにはいきません。薬と食材との大きな違いは、薬効の強弱です。症状の重い時には強心剤として付子(猛毒のトリカブトの根)なども漢方薬として使われます。普通の人がこれを服用したらどうなるかはご想像のとおりです。その逆に軽い症状には薬効の弱い食材で対処するのが最も適しているという考えが薬膳なのです。
食材の性質を知り、それを十分にいかして調理することが本当の薬食同源といえるでしょう。
☆食品にも適用される漢方薬の安全性と危険性
どれが薬でどれが食物かはふつうの常識で考えればわかることですが、漢方薬に対する基準は、日本と中国ではかなり異なっています。
例えば決明子(エビスグサの実)や車前子(オオバコの実)はりっぱな漢方薬ですが、日本ではダイエット茶、ダイエット食品に必ずといってよいほど使われています。
厚生省の基準では、上記2種は、食品にも使える漢方薬の範囲になっているからです。しかし漢方薬は漢方薬ですから、体質に合わない人もいるのです。
☆薬膳の原則
食材の組み合わせ
・相須…同種の性質で効果を高める。朝鮮人参と山芋、朝鮮人参と鶏肉・相使…主たる働きを高める。冬瓜の利水作用をアズキが高める(冬瓜とあずきのスープ)・
・相畏…悪性の性質を消す。カニの寒性をショウガが消す
・相悪…よい性質を駄目にする。キュウリの酵素がビタミンCを破壊(キュウリとビタミンCの果物)(レバーとお茶)。レバーは鉄分を多く含むことで知られていますが、お茶のタンニンは鉄分の吸収を阻害します。これは他の鉄分
を含む食品や栄養剤にも言えることです。
・相反…組み合わせによって毒性が生じる(柿とお茶、サツマイモと卵)
☆寒・熱・虚・実の体質とは
中国医学では、漢方薬と食物のほとんどを四気<寒・熱・温・涼(冷)>と五味<辛・甘・酸・苦・鹹(しょっぱい)>の性質に分類しています。
服用後の体内における作用の性質も昇・降・沈・浮と分類しています。
個人の体質は「寒・熱、虚・実」に分類し、治療の際の漢方薬配合やバランス調整などに応用しています。「寒には熱を、熱には寒を、虚は補い、実は瀉す(流し出す)」これが中国医学の基本中の基本の原則です。もし、これらの性質を無視して治療にあたったとしたら、かえって症状を悪化させることさえあるのです。
☆食材の性質
五味
酸(酸っぱい。収斂(粘膜保護)作用があり、肝臓・胆嚢・目によい)
苦(苦い。消炎作用があり、心臓によい)
甘(甘い。滋養作用があり、脾臓・胃によい)
辛(辛い。発散作用があり、肺・鼻・大腸によい)
鹹(しょっぱい。柔和作用があり、腎臓、膀胱、耳などによい)
四気
寒(身体を冷やす。のぼせや高血圧によい)
熱(身体を温める。貧血や冷え性によい)
温(熱と同じ作用だが、熱よりは弱い)
涼<冷>(寒と同じ作用だが、寒より弱い)
その他に「平」の性質もある。「平」は、寒でも熱でもないもの。
日常の食材で例を挙げてみましょう。
☆熱性と温性
唐辛子、ショウガ、ネギ、ニンニク、ニラ、サンショウ、羊肉、もち米、クリ、クルミ、ナマコ、黒砂糖など
☆寒性と涼性
サトイモ、ゴボウ、ニガウリ、キュウリ、トマト、小麦、緑茶、大根、セリ、ほうれん草、スイカ、昆布、バナナ、(海の)カニなど。
薬膳ではというか中華料理でもそうなのですが、「酸と甘、苦と辛、辛と酸、鹹と苦」など、最低2つの味を組み合わせるのが原則となっています。こうすることで、味を中和してバランスを取っているのです。
☆季節や気候との関係
夏の暑い時には、温・熱の性質の食材(唐辛子、ショウガ、ネギ、ニンニク、ニラ、サンショウ、羊肉、もち米、クリ、クルミ、ナマコ、黒砂糖など)や辛いもの、冬の寒い時や梅雨時には寒・涼の性質の食材(サトイモ、ゴボウ、ニガウリ、キュウリ、トマト、ナス、小麦、大根、セリ、ほうれん草、スイカ、昆布、バナナ、(海の)カニなど)を控えるというのが、薬膳ひいては中国医学の原則です。
暑い時に熱性のものを多く食べると、脾臓や胃の機能を低下させると同時に、熱性の体質に変化しやすくなるからです。例えば、鼻血、痔疾、便秘などの症状が出る、または症状が悪化しやすくなります。
冬はその逆に、ショウガ、サンショウ、コショウ、ニンニクなど熱性のものを料理に少し加えるとよいでしょう。内臓の機能を活発にしてくれますし、冷え性の防止などにも効果があります。
以下、日本の食生活の問題点、今後の薬膳の応用、期待される薬膳食材、体質分類の例、薬膳メニュー例などの話しをしましたが、あまり長くなりますとご迷惑ですので、省略させていただきます。
*まぐまぐを通じて発行していたメールマガジンです。元中医大学教授の原稿に、ウエブマスターの私が、加筆・翻訳・日本人向けに編集・アレンジいたしています。
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