2000年2月〜10月の間に4人の小学生から、旗袍(チーパオ)に関する質問が手紙、Fax等で舞い込んできました。ほぼ2ヵ月に1回のペースです。とてもうれしいのですが、いったいなぜ?というのが、いつわらざる心境です。以下に代表的な質問と回答を載せましたので、小学校の児童の皆様、参考にしてください。



*先生方へお願い
児童の質問は、なるべく具体的なものをお願いいたします。手紙を書くことに慣れていないためか、質問の意図がまったく理解できない場合もあります。また資料をお送りしたり、質問にお答えしても何の反応がない場合がほとんどです。とくにお礼を期待しているわけではございませんが、「受け取りました」などの連絡をいただいたことは、10件中1件程度です。小学生のためのボランティア資料室ではありませんので、最後まできちんと児童のご指導をしてくださいますようお願いいたします。
Qチャイナドレスはいつ頃から、どんなきっかけでつくられたのですか?
皆さんが知っている現在のようなチャイナドレスのデザインになったのは、20世紀の初めですが、もともとの始まりは、清(=しん・1636〜1912年)という時代の中国になります。清という国は、中国でも北の方に住む満州(まんしゅう)族という民族が作った国です。

 さてチャイナドレスの特徴は、高い襟とスリットということに、皆さんも気がついていると思います。高い襟は何のためでしょう? 満州族の故郷は、冬はマイナス30度以下にもなる所です。川も大地もすべて凍ります。つまり襟が高いのは、首を寒さから防ぐためです。皆さんが、冬にマフラーを巻くのと同じ理由です。
 では、スリットは何のためでしょう? お米を作り、決まった場所で生活する日本人と違い、満州族は狩りや放牧、時には戦いが生活の中心でした。こうした人々に欠かせないものは、馬です。馬がいなければ、狩りもできませんし移動もできません。ところで、馬に乗るのにスカートとズボンのどちらが便利でしょうか? ズボンに決まっていますね。でも先ほども話したようにとても寒いところですから、上に長いコートを着なければ、凍え死んでしまいます。ところがズボンの上に長いコートを着たら、今度は馬に乗りづらくなってしまいました。どうしたらいいでしょうか? そこでコートの両脇にスリットを入れてみました。こうすれば、馬に乗る時にとても便利だからです。
 チャイナドレスの特徴である高い襟とスリットは、こうした生活の必要から産まれたものなのです。
 ちなみに男性用の長いチャイナは馬掛(マーグァ)といい、ベストは馬甲(マージャ)と言います。馬に関係があることが、この名前からも想像つきますね。
 もう一つついでに言いますと、武官(軍人)の馬掛は両サイドのスリットですが、馬にあまり関係のない文官(事務中心のお役人)の馬掛のスリットは、サイドではなく斜め前に入っていた(このへんの記憶は不確かです)と思います。

Qチャイナドレス(旗袍)の名前の由来は何ですか?
英語では、Chinese dress(チャイニーズ・ドレス)、またはcheongsam(チョンサム)と言います。Chinese dressは、そのまま中国のドレスという意味です。Cheongsamとは、広東語(中国語の方言)の長衫(長い上着という意味)の発音がそのまま英語化されたものです。
 さて旗袍ですが、旗袍の袍は、長い服という意味です。旗の説明がとても難しいのでゆっくり読んでください。もちろん旗の生地から作ったという意味ではありません。旗は、皆さんが思い浮かべる旗でもあるし違うとも言えます。
 清という時代に旗袍ができたということを最初に話しましたが、この時代の軍人は赤組、白組、青組、黄色組といったように別れて組織されていました。まるで運動会みたいですが、小学校の運動会と違って全員は参加できませんでした。それぞれの色の旗の軍団に入れたのは、一部の階級が上の人たちだけです。その人たちは旗人と呼ばれました。
貴族のようであり、隊長のような人たちです。この旗人たちが着ていた長い服(袍)だから、旗袍と呼ばれるようになったわけです。



Q旗袍デザイナーの有名な人の名前を2〜3人教えてください。
楊惠英(ヤン フイイン)しか知りません。デザイナーの名前で旗袍が売れるようになったのは、ここ数年のことです。驚いたかもしれませんが、新しい中国ができ(1949年〜)てからは、旗袍を着る人はほとんどいませんでした。中国で旗袍が復活したのは、ごく最近のことです。
外国人向けに作られたお土産用の旗袍はありましたが、ごく一般の中国人が自分のために旗袍を買うようになったのは、本当に最近のことなのです。それまではおしゃれをしたくてもできない時代、おしゃれをすることが許されない時代があったのです。
 やっとこの10年くらいで、中国の都市に住む人々の生活は豊かになり、余裕も生まれ、そして旗袍という素敵なものがあったことに気づき、今また中国で人気のあるドレスになったのです。

Qチャイナドレスの珍しい種類を教えてください。
どういうものが珍しいのかよくわかりません。襟が高くて両サイドにスリットがあって、という以外のものが珍しいということでしたら、襟のないデザインや、スリットを後ろ側にというデザインもあります。

Qチャイナドレスの「ロングドレス」以外のイメージとは何ですか?
イメージというのは、デザインという意味でしょうか? もしデザインということでしたら、膝丈もあれば、ミニ丈のドレスもあります。またツーピースや上着、ブラウスもあります。

Qチャイナドレスはどんな時に着るのですか?
一番多いのは、結婚式です。花嫁が着ます。花嫁は赤いドレスを着るのが普通ですが、最近は白も多いようです。次に多いのは、パーティです。中国人はダンスが好きなので、ダンス・パーティの時に着るようです。他に多いのは、レストランやホテルで働く人がよく着ています。

Q旗袍以外の有名な服を教えてください?
中山服が有名です。日本の男子生徒が着る詰め襟のようなデザインの服です。中山とは、孫文という偉い政治家の別名です。この人がよく着たことからこの名前で呼ばれています。今でも、中国の政治家が時々着ています。

Q簡単な旗袍の作り方を教えてください。
簡単には作れません。
1.前身頃と後ろ身頃の2枚を裁断するところから始まります。これが一番難しいのです。ベテランの職人にしかできません。ハサミで一気に切ります。
2.刺繍が必要なもの、手がきの飾りが必要なものは、裁断した生地に装飾をほどこします。
3.それから縫いあわせます。
私の知っている中国のお店では、生地を切る人、刺繍をする人、絵を描く人、縫う人、ボタンを作る人、それぞれが分業で仕事をしています。

生地の種類は、刺繍織りのシルク素材、、薄いシルク、やや張りのある無地のシルク、、シルク地に起毛させたビロード、レーヨンやポリエステル、綿などがあります。


目次
特定商取引(旧訪問販売法)に関する法律に基づく表示・プライバシーポリシーなど